海外FXで一定額以上の利益を得たら確定申告が必要になる

日本国内に居住している方が海外FXで利益を得た場合は、日本の法律に従って税金を納めなければなりません。
海外FXの利益は、所得税と住民税の対象になり、確定申告によって計算・納税することになります。
申告対象になるにもかかわらず、確定申告をせず納税をしなければ、重加算税や延滞税などのペナルティの対象となるので注意が必要です。
海外FXの利益にかかる税金
海外FXの利益には、所得税と住民税がかかります。
所得税と住民税の金額は基本的に、確定申告をすることで自動計算されます。
ここからは、所得税と住民税の仕組みや税率を見ていきましょう。
所得税
確定申告は、所得税を申告・納付するために必要な手続きです。
海外FXの利益には、給与所得や事業所得、不動産所得といった他の所得と合算して税金を計算する「総合課税」が適用されます。
総合課税では、所得額が増えるほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されているのが特徴です。
海外FXの利益にかかる所得税率は、所得金額が増えると以下のように上がっていきます。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000~1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
住民税
確定申告をすると、市区町村が申告情報を受け取って翌年度の住民税を計算します。
住民税率は自治体ごとに決められており、所得額にかかわらず一律10%としているケースが多いです。
海外FXで税金が発生するタイミング
海外FXの取引で得た利益に税金が発生するのは、保有ポジションを決済して為替差益やスワップポイントを得たときです。
含み益の状態では、原則として課税対象になりません。
なお、課税対象となるのは、1年間(1月1日〜12月31日)に確定した利益の合計から、取引にかかった経費を差し引いた金額です。
利益を海外FX業者の口座から日本国内の銀行口座に送金していなくとも、決済して利益を得たら課税対象になります。
海外FXで確定申告義務が発生する利益額

海外FXで確定申告義務が発生する利益額は、給与取得の有無によって以下のように異なります。
| 給与所得者 | 年20万円以上 |
| 給与所得者以外 | 年95万円以上 |
それぞれ詳しく解説します。
給与所得者:年20万円以上
会社員やパート、アルバイトといった給与所得者は、給与所得以外の所得の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
ただし、年間の給与収入が2,000万円を超える方は、その他の所得額に関係なく確定申告をしなければなりません。
年間20万円以下の所得で確定申告が不要なケースでも、住民税の申告が必要になることがあるので、自治体で申告方法を確認しておきましょう。
給与所得者以外:年95万円以上
専業主婦(主夫)や学生、専業トレーダーなど、給与所得をもらっていない方は、海外FXの利益を含めた年間の合計所得金額が95万円を超えると確定申告が必要になります。
この95万円は、基礎控除額と同じであり、2025年度の税制改正によって48万円から増額されました。
所得が基礎控除額以下であれば、課税所得が発生せず、確定申告をする必要がありません。
ただし、確定申告が不要な場合でも、住民税が課税される可能性があるので、自治体の窓口で申告方法を事前に確認しておきましょう。
海外FXの確定申告手順

海外FXの一般的な確定申告手順は、以下のとおりです。
- 必要書類を準備する
- 確定申告書を作成する
- 確定申告書を提出する
- 税金を納付する
順番に詳しく紹介します。
1.必要書類を準備する
海外FXの確定申告をする際は、以下の書類を事前に準備するとスムーズです。
| 年間取引報告書 | 海外FX業者のマイページや取引ツールなどからダウンロードする |
| 必要経費を証明する書類 | 領収書やレシートなど |
| 源泉徴収票 | 給与所得がある場合は、勤務先から交付される(給与所得がない場合は不要) |
| マイナンバーカードや本人確認書類 | 申告書にマイナンバーの記載、本人確認書類の写しの添付が必要になる |
| 各種控除証明書 | 社会保険料や生命保険料の控除を受けるための証明書 |
2.確定申告書を作成する
確定申告書は主に国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用する、または手書きで作成する方法があります。
確定申告書等作成コーナーでは、画面の指示に従って必要情報を入力するだけで申告書を作成できます。
手書きで作成する場合は、国税庁のホームページでダウンロードしたり、税務署・申告相談会場で受け取ったりしましょう。
確定申告書等作成コーナーを使った申告書の作成方法は、後述します。
3.確定申告書を提出する
確定申告書は、以下のいずれかの方法で所轄の税務署へ提出します。
| e-Tax(電子申告) | インターネットを通じて提出する方法で、手続きがスムーズで便利 |
| 郵送 | 領収申告書を印刷し、必要書類の写しを添付して郵送で提出する |
| 窓口提出 | 税務署や確定申告会場に持参して提出する |
4.税金を納付する
確定申告の期限(原則として翌年3月15日)までに、選択した方法で所得税を納付する必要があります。
主な納付方法は、以下のとおりです。
- 税務署や金融機関の窓口での現金納付
- 口座振替(振替納税)
- クレジットカード納付
- e-Taxによるダイレクト納付
納付方法は、確定申告時に選択します。
海外FXの確定申告書の作成手順

確定申告書等作成コーナーを利用した海外FXの確定申告の作成手順は、以下のとおりです。
- 確定申告書等作成コーナーにアクセスする
- 作成する申告書を選んでログインする
- 所得を入力する
- 海外FXの利益を入力する
- 控除を入力する
- 納税額を確認して納付方法を選択する
本記事では、令和6年分の確定申告の流れを紹介するので、実際に申告する際は国税庁が公開している作成ガイドなどを確認しましょう。
作成手順を詳しく解説します。
1.確定申告書等作成コーナーにアクセスする
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を開いて「作成開始」をクリックします。

次の画面で提出方法に関する質問が表示されます。
質問に回答していくことで、利用者に合った提出方法がわかります。
主な提出方法は、以下の2つです。
| マイナンバーカードを利用してe-Tax送信 | マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダライタが必要 |
| ID・パスワード方式でe-Tax送信 | 税務署の職員による本人確認を受けてから取得できる「ID・パスワード方式の届出完了通知」が必要 |
2.作成する申告書を選んでログインする
次に「作成する申告書等の選択」画面が表示されるので、該当するものを選びましょう。

申告する内容に応じて「所得税」または「決算書・収支内訳書(+所得税)」から選択します。
次の画面で、マイナポータルの連携の有無を選んで、e-Taxにログインしましょう。
マイナンバーカードを使う場合は、スマートフォンのマイナポータルアプリ、ICカードリーダライタを使ってログインします。
ID・パスワード方式を利用する場合は「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されている利用者識別番号と暗証番号を入力することでログイン可能です。
事前準備が完了すると、申告する所得の選択等画面が表示されるので、会社員の方は「給与」と「雑(業務・その他)」をチェックしたうえで、給与所得に関する質問に回答します。
3.所得を入力する
前の画面で「給与」と「雑(業務・その他)」にチェックを入れた場合は、まず給与所得の入力を進めます。
給与所得は、勤務先から配布された源泉徴収票を見ながら入力しましょう。
4.海外FXの利益を入力する
給与所得の入力が終わったら、海外FXの利益や経費を入力します。
海外FXで得た利益は雑所得になるので、雑所得の項目で入力を進めます。
入力の流れは、以下のとおりです。
- 種目で「その他」を選んで詳細の欄に「証拠金取引」と入力する
- 年間取引報告書や領収書を見ながら「収入金額」「必要経費」を入力する
- 「報酬などの支払者の氏名・名称」にFX業者の運営会社の名前を入れる
5.控除を入力する
次に各種控除の入力をします。
控除の入力画面では、以下のような控除を入力できます。
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 雑損控除、災害減免
- 医療費控除
- 寄附金控除、政党等寄附金等特別控除
- 配偶者(特別)控除
- 扶養控除 など
控除証明書などを見ながら入力を進めましょう。
6.納税額を確認して納付方法を選択する
すべての入力が完了したら、計算結果が画面に表示されます。
計算の結果、納税が必要な場合は「納付方法等の入力」画面で納付方法を選択します。
最後に、財産債務調書や住民税等に関する事項、住所・氏名等の必要事項を入力したら、申告書を送信しましょう。
海外FXの利益を会社にバレずに確定申告するには?

海外FXで利益を得ていることが会社にバレる主な原因は、住民税の納付方法にあります。
給与所得者は通常、会社が給与から住民税を天引きして納付する「特別徴収」という方法が採用されています。
海外FXで得た利益分も特別徴収の対象になると、給与のみで算出する住民税額よりも高くなることで、会社にバレる原因になるので注意が必要です。
そのような事態を防ぐためには、確定申告書を作成する際に、海外FXの利益にかかる住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」にしましょう。

「申告書第一表・第二表【令和6年分用】」をもとに画像作成
確定申告書等作成コーナーでは「住民税等に関する事項」で選択できます。
普通徴収を選ぶと、海外FXの利益にかかる住民税の納税通知書が自宅に届き、自分で納付することになります。
海外FXの税金を抑える方法
海外FXの税金を抑える方法には、以下のようなものがあります。
- 経費を適切に申告する
- 他の雑所得の損失と相殺する
- 法人化を検討する
それぞれ詳しく解説します。
経費を適切に申告する
税金を計算する際は、利益を得るためにかかった必要経費を差し引くことができます。
課税対象となるのは、利益から経費を差し引いた金額となるため、経費を漏れなく申告することが節税につながります。
経費として認められる可能性があるのは、以下のようなものです。
- FX関連の書籍や新聞の購入費
- FXセミナーの参加費
- インターネット回線やスマートフォンの通信費(取引に使用した割合)
- インジケーターやEA(自動売買ソフト)の購入費
領収書は5年間保管する義務があるので、紛失しないようにしましょう。
他の雑所得の損失と相殺する
海外FXの利益は、同じ雑所得に分類される損失であれば相殺することができます。
たとえば、アフィリエイトやフリマアプリの売買、仮想通貨取引などの雑所得で損失が出た場合は、その損失額を海外FXの利益から差し引くことができます。
なお、国内FXの利益は申告分離課税の雑所得として扱われるため、総合課税の海外FXと損益通算できないので注意しましょう。
法人化を検討する
海外FXで大きな利益を継続的に得ており、所得税率が高くなってきた場合は、法人化を検討してみましょう。
海外FXでは、下表のように年間利益が695万円を超えると法人口座の方が税率が低くなります。
| 年間利益 | 個人 (所得税率+住民税率) | 法人 (実効税率) |
|---|---|---|
| 330万円超え 695万円未満 | 30% | およそ30% |
| 695万円超え 900万円未満 | 33% | およそ30% |
法人化には、経費として計上できるものが多くなったり、赤字を最大10年間繰り越したりするメリットがあります。
ただし、法人化には「設立費用や維持コストがかかる」「個人のように口座の資金を自由に使えない」などのデメリットもあります。
法人化を検討する際は、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。
また、実質的な節税にはなりませんが、海外FXで出た利益でふるさと納税が可能です。
ふるさと納税を申請することによって返礼品を受け取ることができます。
海外FXで一定額以上の利益を得たら適切に確定申告をしよう
海外FXで一定以上の利益を得た場合は、期間内に確定申告を行いましょう。
給与所得者は年間20万円、それ以外の方は年間95万円を超える利益が出た場合に申告義務が発生します。
経費の計上や他の雑所得との損益通算などを活用すれば、税負担を抑えることも可能です。
海外FXで利益を得たときは、本記事で紹介した手順や節税方法を参考に、適切な確定申告を行いましょう。
